土地・建物の名義変更をするには理由が必要?

「土地の名義を変えたいんだけどね~、法務局に何を持っていけばいいの?  権利証だけでいい?   印鑑も?」といった第一声でご相談のお電話☎をいただくことがたまにあります。

 

 えーと、どこから説明しようか・・みたいな感じになるのですが(^^;)、この点について、若干誤解といいますかあまり意識されていない方も少なくないようですので、簡単に解説させていただこうと思います。

 

1.土地・建物の名義変更(登記をする)には理由(登記原因)が必要

 文頭のようなご質問をなさる方は、法務局の窓口に申し出れば簡単に土地・建物の名義を変えることができるとお考えなのだと思います。しかし、残念ながらそう簡単な話でもありません。※そのような方々の間でも「権利証(ケンリショウ)」という言葉はやけに市民権を得ているなといつも感じます・・もちろん、権利証(司法書士であれば「登記済証」と呼びます)を重要な書類だと認識されているのは良いことですが。ちなみに、現在では、名義変更(登記)をしても権利証(登記済証)という書類は新たに作成されることはなく、代わりに新登記名義人に対して「登記識別情報(トウキシキベツジョウホウ)」というものが通知されます。

 

 話がそれました。元に戻します。土地・建物の名義を変えるには「何となく」とか「まぁ、とりあえず」ではダメで、ちゃんとした理由(正確には「原因」とか「登記原因」といいます)が必要なのです。よくある登記原因の例を以下にお示しします。

 

<よくある登記原因の例>

1.相続

2.遺産分割

3.贈与

4.遺贈

5.売買

6.交換

7.時効取得

8.財産分与 etc.

 

 6以降の登記原因は、よくあるは言い過ぎでしたが、それぞれの登記原因の意味するところはおおよそ見当がつくかと思います。そして、これらの登記原因にその原因が生じた日付を加えて完全な登記原因になります。例)平成25年5月10日相続 令和2年12月7日売買 

 

 上記のような登記原因が生じたことを証明することができてはじめて、土地・建物の名義変更手続きをすることが可能になります。結構面倒な話ですよね。

 

2.登記原因の証明方法

 土地・建物の名義変更手続きにはいろいろな書類を用意しなければなりません。このうち、登記原因が生じたことを証明する書類のことを「登記原因証明情報」と呼びます。例えば、売買による所有者の名義変更をしたいのであれば、いつ売買契約がなされ、それによって所有権が売主から買主に移ったという事実を記載した書面等がこれに該当します(売買契約書そのものを登記手続きに使用することはほとんどありません)。また、相続による所有者の名義変更をしたいのであれば、相続が発生した事実や相続人が誰かが分かる戸籍謄本等、さらに遺産分割協議書や相続放棄申述受理証明書等が場合によっては必要になってきます。

 

3.名義変更をあまり軽く考えないで

 名義を変えたいという動機が相続によるものならよいですが(相続というのは避けようがない話なので)、売買や特に贈与を想定しているケースでは、ちょっと心配になることもあります。税金の問題です。

 

<名義変更にともなう税金>

1.登録免許税:登記手続時に納付。

2.固定資産税:新名義人に課税。

3.不動取得税:新名義人に課税。

4.贈与税:新名義人に課税。

5.所得税:譲渡益が発生した売主(旧名義人)に課税。etc.

 

 上記のような税金が課されることを十分に認識したうえで、売買契約や贈与契約を行っていただきたいのです。さらに、そもそも何故売買や贈与をする必要があるのか、その目的とそこから得られる結果(何を期待するのか)を明確にしておくことが重要です。未利用土地の有効活用のためなのか、子や孫世代のためなのか、節税目的なのか(節税対策のつもりがそうならないこともあるのでご注意ください)等々です。

 

※税金については、各種の軽減制度がありますので、該当する方は上手にご活用ください。詳しい税制については最寄りの税務署・税理士にご相談ください。

 

 以上、土地・建物の名義を変えるのは思っていたほど気軽な話ではないですよ、ということをお話ししました。あ~そうなんだとご認識いただければ幸いです。

 

 それでは、また。