全ての不動産をもれなく相続登記するには?

 こんにちは。本日のテーマは、被相続人名義の不動産(土地・建物)が複数ある場合に、それらをもれなく相続登記(名義変更)するにはどうしたらよいかです。

 

「うちは、不動産といっても、親父が住んでいた居宅とその宅地だけだから、それ以外のものなんてないはずだよ」とおっしゃる方も多いかと思います。でも、ちょっと意識を持っておかないと、あとで「あれ?」ということがあり得る話なのです。

 

 実際に私が扱った事例の中でも、「随分前に親父の土地はすべて息子である自分の名義に変えたはずなんだけど、いざ売却しようと思ったら、まだ親父名義のままの土地があってさ~」という類の話が何回かありました(司法書士が登記手続きに関与していたなら、このようなことが起こる可能性は低いのですが)。

 

 再度相続登記手続きをしようと思っても、遺産分割協議からもれていた土地がある場合は、また一から相続人全員のハンコを集めなければならず、その手間を考えるとウンザリしてしまいますよね。もちろん費用も余計にかかります。

 

 こうした事態を100%防げるかというと、実は難しいケースもあるのですが、事前調査・確認をしっかり行うことでかなり回避することができます。司法書士に依頼せずにご自分で手続きをしようとする方は以下を参考にしてください。

 

<相続登記からもれてしまうケース・原因の例>

1.相続不動産がとても多い

 地方の農村地域等では、被相続人の所有不動産が、居住していた居宅・宅地以外にも、田・畑・山林等たくさんある場合が珍しくありません。頑張って書類を作って登記手続きまでこぎつけたはいいけれど、見落としや記載もれにより名義変更されない不動産が生じてしまう可能性があります。

 

2.固定資産税が非課税の不動産

 一番手っ取り早い相続不動産の把握方法は、自治体から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されている課税明細を確認することですが、注意が必要なのは、ここに記載されるのは固定資産税の税額が発生している不動産だけだということです。例えば、非課税物件のため明細に記載されない不動産の代表格として「公衆用道路」という地目の土地があります。宅地の周囲にまとわりつくように存在していることが多いです。相続後の売却時等に不都合が生じますので、絶対に登記もれは防ぎたい土地です。なお、固定資産税が非課税だからといって、登記手続きの際に納付する税金である「登録免許税」も非課税になるとは限りませんので、ご承知おきください。

 

3.共有名義の不動産

 相続不動産は必ずしも被相続人の単独名義のものばかりとは限りません。他人との共有名義の物件もあります。相続不動産の把握のため、自治体の税務(証明)担当課で「固定資産評価証明書」を発行してもらう方法がありますが、窓口で時折「共有不動産も載せますか?」と確認されることがあります。「ま~、別にいいです。」みたいな回答をしていると被相続人の共有名義の不動産を落としてしまうことになります。注)そもそも被相続人以外の共有者が、その不動産の固定資産税の全額を負担している場合では、共有名義を含めた被相続人名義の固定資産評価証明書を取得しても、その不動産の記載がないこともあり得ます。固定資産評価証明書は、所有者または納税義務者ベースで作成されるからです。この場合の共有名義不動産の把握もれは致し方ないかもしれません。

 

4.他市町村の不動産

 被相続人名義の不動産が複数の市町村に存在している場合があります。「まさか、そんなところにも不動産を持っていたのか!?」と相続人が考えもしなかった場所に不動産を所有していたなんてこともあります(先代・先々代から引き継いだ土地で被相続人本人でさえ明確に把握していなかったというケースもあるでしょう)。ちなみに、登記手続先の法務局ですが、不動産の所在場所にしたがって管轄が決められており、複数の法務局で手続きをしなければならない場合もあります。 

 

 <相続不動産の把握方法>

 上でお話ししたように限界もありますが、以下にお示しする調査を行えば、把握もれはかなり回避できます。

 

1.確認したい書類

(1)固定資産税の納税通知書

(2)固定資産評価証明書

(3)名寄帳

(4)いわゆる権利証の類

 

(2)と(3)は不動産が所在する市町村役場で取得(閲覧)ができます。(1)の確認だけでは心もとないので(2)を請求・取得して、(1)に記載されない固定資産税の非課税物件がないか確認してください。なお、この書類は相続登記手続きの添付書面にもなり得ますから取得して損はありません。通常(2)を取得すれば(3)は必ずしも無理をして確認しなくてもよいと思います。(4)は被相続人が登記名義を取得した際に、法務局から交付を受けた書類です。権利証が古い場合には、不動産の表示(地目や地積、また分筆・合筆による地番の表示)が現在のものと異なる場合もありますので、注意してください。

 

2.登記事項証明書の取得

 上で掲げた書類から不動産の把握ができたら、その不動産の現時点の登記の状態を確認するため「登記事項証明書」を取得しましょう。この書類は法務局で取得することができます(インターネットで確認する方法もあります)。各不動産が間違いなく被相続人名義になっているか確認してください。被相続人名義である父親の名義になっていると思っていた土地が、まだ祖父名義のままだったとか、固定資産評価証明書には記載があるのに登記をしていなかった(登記記録がない)ということもあります。そういった不動産については、別の対応が必要になることもあります。

 

 いかがでしたでしょうか? あれ?うちは大丈夫かな?と思った方、これから相続登記手続きをされる方、ちょっと気を付けて調べてみた方がよいかもしれませんよ。上記の説明で、なんだか難しそうだ、面倒だと感じた方、ご心配な方は、司法書士にご相談ください。

 

 それではまた。