相続する権利がなくなる場合とは?

 こんにちは。本日のブログは、「特殊な事情がなければ本来は相続する権利があったのに、それがなくなってしまう場合」についてご紹介したいと思います。※遺産分割協議の中で「自分は何もいらないよ」と意思表示をした場合以外の話です。

 

<相続権がなくなってしまう場合>

1.相続の放棄(民938条以下)

2.欠格事由に該当(民891条)

3.推定相続人の廃除(民892条以下)

4.特別受益(民法903条以下)

5.相続分の譲渡(民法905条)

6.相続分の放棄(民法に規定なし)

 

※被相続人の遺言により相続分をまったく割り当てられなかった相続人も上記の場合に該当するとも言えますが、他の相続人全員の同意により遺産分割協議に参加して遺産を受け取る権利がないわけではないので(異論もありますが)、記載していません。なお、このような相続人でも、「遺留分侵害額請求権」の行使により、遺産の一定割合を取得することは可能です。 

 

 では、1~6の解説に入ります。1は説明するまでもないと思います。前回のブログでもとり上げました。自ら家庭裁判所に対して相続放棄の手続き(=そもそも相続人ではなかったことにする手続き)をとったわけですから当然ですね。2は民法891条に5つ掲げられていますが、大雑把に言うと相続人が被相続人に対し犯罪行為をした場合です。あらゆる犯罪がその対象になるわけでなく、要はその犯罪行為によって、相続において自己の立場が有利になるような場合が該当します。3の「廃除」とは初めて耳にした方もいらっしゃるでしょう。「排除」の間違いではないですよ(^^;)  これは、2の犯罪行為とまではいかなくとも、被相続人に対し虐待や侮辱等の著しい非行があった場合です。この場合、被相続人の取り得る対抗措置として、家庭裁判所に対し、その非行をはたらいた者を自分の相続人からハズしてくれ!という申立てをすることができます。この廃除の意思表示は遺言によってすることもできます。4は特別受益があった場合です。特別受益とは、被相続人から婚姻や養子縁組のためもしくは生計の資本としての贈与を受けることをいいますが、この受益額が本来の自分の相続分以上になった場合はもはやそれ以上の取り分がなくなるということです。これも常識的に(心情的に)それはそうだろうなとご理解いただけるかと思います。5は自分の相続分(割合)を他の相続人や第三者に譲り渡した場合です。6は自分の相続分を放棄するという意思表示があった場合ですが、1の相続放棄と言葉は似ていますが全くの別物で、相続人であることには変わりなく、あくまでもプラスの財産に対する取り分を放棄したというだけです。よって、債務は依然として負う可能性がありますので注意が必要です。これと同じことは5にも言えます。

 

 いかがでしょうか? めったにお目にかからないケースもありますが、一応知っておいた方がよい知識です。どういうときにこの知識が役立つのかというと、やはり相続人間での遺産分割協議をするときだと思います。上記の1~6の場合に該当する人は、相続権がない=プラスの財産を取得できる地位にある相続人として考える必要がない人ので、遺産分割協議のメンバーに入れる必要がありません。遺産分割協議は相続権がある相続人の全員でするものですから、一人でも少なくなれば協議の成立が早くなることが期待できます。

 

 では、上記の1~6に該当することをどうやって証明したらよいのでしょうか? 結局のところ、遺産分割協議がまとまれば、相続登記手続きをするわけですから、何らかの証明書類が必要になってきます。それぞれに該当することを証明する書類は、次のとおりです。

 

<相続権がないことを証明する書類>

1.相続放棄申述受理通知書、相続放棄申述受理証明書

2.欠格者自ら作成した証明書(印鑑証明書付き)、確定判決の謄本

3.戸籍謄本等(廃除があった旨は戸籍に記載されます)

4.特別受益者が作成した相続分のないことの証明書(印鑑証明書付き)

5.相続分譲渡証書(印鑑証明書付き)

6.相続分放棄証書(印鑑証明書付き)

※6の書類はやや疑義があります。 

 

 今日はこのくらいにしておきます。

この記事が何かの参考になれば幸いです。それではまた。